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シャンゼリゼ・ショッピング・アーケイドの噴水(その2)

h作家名: ルネ・ラリック
作品名: シャンゼリゼ・ショッピング・アーケイドの噴水
制作地: フランス
制作年: 1926年
技法・素材: プレス・ガラス、サンド・ブラスト、カット・ガラス、
       カーヴィング、ニッケルメッキ
サイズ: H290.0×上部泉水盤直D145.0×底部D232.0cm
作品番号: D-026

アール・ヌーヴォーの時代にはすでに若きジュエリー・デザイナーとして華々しく活躍していた
ルネ・ラリックではありましたが、40歳を過ぎてからガラス芸術に興味を持ち始めます。

ラリックは宝飾品製造技法のひとつであるロスト・ワックス技法をガラス芸術に応用したり、
フランソワ・コティーの香水瓶などの注文製作を始め、ガラス製品の量産化への道を歩みつつありました。
1925年のパリ芸術産業博覧会ではル・コルビジェが新たな住環境の提案を行い、ラリックも自身の
パヴィリオンを出展したのに加えて、セーブルの陶磁器パヴィリオンのためのガラスのテーブル、燭台、
そしてこの博覧会のモニュメントとなった大型のガラスの噴水「フランスの水源」などを出展していました。
ショッピング・アーケイドの噴水は、その翌年の発表で、ラリックの「ガラス工芸家」としての才能が、
まさに頂点に達した時代の作品といえます。

後年、ギャラリー・リドの取り壊し工事の際に噴水は2点とも撤去され、囲っていたオリジナルのモザイク
プールは、その時に既に壊されていたのではないかと思われます。以来、多くのガラスの噴水と同様、
ショッピング・アーケイドの噴水は永くその所在が知られておりませんでしたが、数年前、パリ郊外の
とある農家の納屋でそのうちの一点がほぼ完全な形で偶然にも発見されたのでした。後にこの噴水はラリックを
愛する人々によって完全に修復がなされ、1990年のパリ装飾美術展で行われた、ルネ・ラリック展に中心的な
作品として展示されました。この展覧会が1992年に日本に巡回し、東京国立近代美術館で多くの宝飾品と共に
展示され、大きな反響を呼びましたのは記憶に新しいところです。

現在の噴水の構造については、プール部分をグラス・ファイバー・コンクリートで補強し、土台には強度の
地震から作品を保護するため、フローティング構造の免震台を設置しました。照明には現代の最高の照明技術の
一つである光ファイバーによるライティング・システムを組み込み、ウォーターポンプのシステムと同調しながら
リモコンで作動するように設計されております。失われた土台部分のガラスのパネルは、ウィンゲン・シュール・
モデールにあるラリック社の工場で特別な協力のもとに再現されたものです。

飛騨高山美術館では来館者の皆様にこの噴水をよりよく鑑賞して頂くために、美術館の設計段階から「ルネ・
ラリック噴水ホール」を設計いたしました。多くの人々の芸術を愛好する気持が今日、この噴水ホールに
「ガラスと光と水の芸術」として結実したといえます。

at 10:27, 向井公規, 所蔵作品紹介

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