作家名: エミール・ガレ
作品名: 花器「フランスの薔薇」
制作地: フランス
制作年: 1900年頃
技法・素材: 内部装飾、エングレーヴィング、アプリカシオン
サイズ: H21.2×W9.3×D6.6cm
作品番号: N-011
この花瓶は、ガレの完成された技法を示す代表的な作例です。
豊かな色彩とすばらしいカーヴィング(彫刻)により、作品の外観は
生き生きしたものとなっています。自然を模倣したレリーフによる装飾は、
この花瓶を彫刻作品のように見せています。
ガレが制作した「フランスのバラ」という一連の花瓶の中には、この作品
よりも大きいものや更に手の込んだ作品も幾つかありますが、この花瓶は
質の高い作品の一つといえます。しかし、この作品を実現した技術の高さは、
外観の素晴らしさを遥に上回ると言えるでしょう。
この花瓶のテーマは強烈で、ここではバラをフランスの象徴としていますが、
ここでは普仏戦争(1870-1871年)後にドイツによってフランスの一部で
あったロレーヌ地方が併合された事によって傷ついた、ガレとロレーヌ地方の
同志達の民族主義的な自尊心の傷みを表現しているのです。